【君が想うよりオオカミ】    男女の間に友情という観念は成立するのかを描く小説       【TVブロ酢】           辛口、甘口でないスッぱい批評        【となりのレトロ】


by tencho77

君が想うよりオオカミ ♯2

「おかけになった電話は電波の届かない所にあるか、電源が・・・」
「只今留守にしております。ピーという発信音のあとに・・・。」

おかしい。
目の前にある彼女の住んでいるアパート「さくら荘」。
二階の彼女の部屋灯りは煌々とついている。
なのに携帯にも、家電話にもでてくれない。

居留守か・・・。
まだ駆け出しとはいえ、彼女はアイドル予備軍。
いっちょまえにストーカー対策とでもいうのか、雑誌記者対策なのか。
彼女のマネージャー修行中の身、いちおう盗賊・・・いや合い鍵は持っている。

( とにかく部屋に入ってみよう。 )

自転車を停め、足音を極力たてず階段を登り、ドアの前まで来て、
全身が凍りつくように立ちすくんだ。


鍵穴からこちらを覗いている若い男がいる・・・。


目だけ見えたその若い男はこちらに気づいた!

考えるヒマなどなく、合い鍵を使うと、おもいっきりドアを開けた。

若い男はまさに窓から、飛び逃げ寸前だった。

瞬間、足をつかもうと右手をつきだし、スーパーマンポーズ状態でジャンプした。

グキっ!

腰にヘルニアのような持病を持っている。
空き時間を駆使して、整体に通っている。
ギックリ腰みたいな感覚だ。
そのままうつ伏せに倒れこみ、動くことができない。

若い男はよろけながら、何かをポケットから落とし、窓から逃げ去っていった。

動けないうつ伏せ状態でいると、いろいろな思考が湯水のように浮かんでくる。

単なる物盗りではなさそうだ。
彼女の姿は確認できない、無事なのか。
それともここが別人の部屋で、オレ、ボケたのか。

ドアの鍵は閉まっていない。
こんな状態でさっきの物音で誰か来たらどうしよう。
女性宅に動けない男。
傍からみれば絶対、不審者扱いだ。
ゲイにとってこの部屋の雰囲気は自分の部屋と同じ感覚なのに。

本業での仕事関係者では、彼女だけにゲイであることを明かしている。

「私も、ケイゴのこと好きよ。」

彼女の口からこの言葉を聞いたあと、なんともいえない違和感があったのを覚えている。

同性としての『 好き 』。
親友としての『 好き 』。
唯一の理解者である、大好きな彼女に早く会って話したい・・・。

少し腰の痛みがひいた。
ふと、若い男が落としていった黒い物がやっと視界に入った。

ニンテンドーDSi・・・。

這いつくばり、冷や汗をかきながら指をめいっぱい伸ばすとなんとか掴めた。

何か手がかりがあるのか・・・。
ソフトは入っていないようだ。
開いて電源を入れる。
通常とは違う、不規則なマス目が13個表示されている、不思議な画面があらわれた。



とにかく指で画面のマス目をいろんな順番でなぞり、叩いてみた。

『 パスワード ■■■ ■■■■ 』



迷わず、彼女からのメール『 402 』と書いた。

・・・・・・・・なにも変化がない。

『 402 カプセル 』

・・・・・・・・なにも変化がない。
ただの屍のようだ。

しばらく考え、いろいろなキーワードを書き込んだ。
相変わらず、なにも変化がない。
本体を裏返してみた。
『 k.t 』というイニシャルのような刻印。
ふと、見えたタッチペンを抜いてみた。



『 Age of her birth 』

タッチペンに刻印されている!

『 402 1979 』

迷わず書き込んだ。
次の瞬間、奇妙な高い機械音と共に、ニンテンドーDSi本体から火花が飛び散り、


パーン!




to be next ♯3




【 職人名 】 ※敬称略

 さくら

 key-t@

 オレボケタ

 ます13

 1979

【 小ネ単語 】

 腰にヘルニアのような持病
  おきゃん姐さんが実際に整体に通っているところから

 ニンテンドーDSi
  オフ会での大喜利大会優勝商品。key-t@さんが獲得、BOOK・OFFに売っぱらったらしい?

  『 Age of her birth 』
  『 彼女 』の生まれた年。1979年。ほしのあきのように、結構遅いデビュー。

【 ストーリー 】

♯1の『 辞令の書 』に続く、『 いちおう盗賊・・・いや合い鍵 』や『 ただの屍のようだ。 』
 のドラクエセリフ入り。
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by tencho77 | 2009-05-12 16:28 | 【君が想うよりオオカミ】