【君が想うよりオオカミ】    男女の間に友情という観念は成立するのかを描く小説       【TVブロ酢】           辛口、甘口でないスッぱい批評        【となりのレトロ】


by tencho77

君が想うよりオオカミ ♯9

島影と瑠璃色の海だ···。

彼女と島らしきその丘で向きあっている。

「ケイゴは私のことどう思ってる?」

どう思ってるって難しい。一言では表せない。

親友として、少なくとも嫌いじゃない。

痛っ!

「私もケイゴのこと、好きよ。」

『 好き 』って、簡単に言うけど、好きの重さはどれくらい?

軽いのか。
重いのか。

わからない。

異性からの『 好き 』は、時に罪つくりだ。
受け身のほうは、送り手の君に対する

モーション
トーク
フィーリング

すべてを支配されてしまう。

痛っ!

同性からの好きはそれ以上だが·····。

君が···君が想っているより俺は···。

彼女が呼んでいる声が遠くに聞こえたような気がした···。

「ケイゴー。ケイゴー。」


冷っ!

「ずいぶん気を失ってたわね。」

視界不良の先には、着物を着た女性の姿がうっすら見えてきた。
極道の妻風だ。
頭から水を浴びせられたようだ。

「これだけやって、やっと目を覚ましたか。」

二十畳くらいだろうか、和室のようだ。
端にある座敷牢の中で両手首を縛られ、天井から吊り下げられている。
身ぐるみを剥がされていて、全裸だ。

プチッ!
痛っ!

女は顔に付けられてる、無数のせんたくばさみをツまんでとった。

「カプセルは失くしたの?」

「···はい。」

「誰かに渡したとか?」

プチッ!
せんたくばさみをツまんでとった。

痛っ!

早くココを逃げ出したい。

どこかに非常ベル·ボタンはないか···。

追い詰められ、もう頭の中には坊主の読経音が鳴り響いていた。

「そんなもの···知らない···。」

か細くそう受け答えるのが精一杯だった。

「だいたいこういう場面で言う台詞ね。」

仕方がないという表情で、極道の妻風女は息を吸い込んだ。

「やーーー!」

かけ声と共に、一気にせんたくばさみ全部をツまみ引き抜いた!

顔面に激痛を通り越した、熱さが襲った。
断末魔の叫び声をあげ、失神した。
座敷牢の木枠は小刻みに震えている。

「このくらいにしとかんと。あの社長うるさいからな。」

極道の妻風女は、ぼやいた。
もどかしいとばかりに、天井から縄を解いて降ろした。

「馬葉ー!」

「はい、組長。」

二十歳くらいの若い男が、素早く入ってきた。

「黄色いモノが、唇のそばに付いてるわい。」

「は!すいません。少し早い昼飯の焼きカレーを食ってたもんで···。」

「こいつを蒲団に運べ。」

「え?目当てのカプセルとやらを持ってないんで、
いつものように琵琶湖に棄てるんじゃ···。」

「いや、貴重品らしいからな、こいつは。」

絶対服従している若い男は、少し引き摺る格好で、顔面傷だらけの身体を運んでいく。

「丁寧に扱えよ。なんかあったら、権田組の恥だからな。」

「は!」

若い男はゆっくりと、奥に消えていった。

ゴッドファーザーのテーマが流れる。

女組長は携帯に出た。

「ああ、道屋さん。どうやら持ってないようです。やはり途中で···。」

電話の向こうの主は不満のようだ。

「大丈夫ですよ、伯爵の時みたいに失敗はしませんから。」

その時、若い組員が再び素早く入ってきた。

「なんや、どうした。血相変えて。」

「な、殴り込みではないんですが···。」

「どうした?」

「はい。弟の敵討ちにと、はるばる山梨から来たと言っていて。」

「はるばる?そんなに田舎人でもないがな。」

女組長はゆっくりと玄関に出向いた。

そこには骸骨のように頬が痩せこけた男が、
不敵な笑みを浮かべていやらしい目つきで、こちらを見て立っていた。




to be next ♯10







【 職人名 】 ※敬称略

 ゴン太

 ツヨ

 ベル·ボ

 bose-sound

 ばっは

 田舎人

 イボンヌ太郎Z

【 小ネ単語 】

 「ケイゴー。ケイゴー。」
  気づいた時は全裸で吊るされていた状態でのセリフ。もちろん、あの事件がモチーフです。

 「やーーー!」
  一時期流行った、チャットに入る時の掛け声。「福原 愛」由来との噂も。

 昼飯の焼きカレー
  ばっはさんお得意のいつもの昼飯。

【ストーリー】

 圭壱は拉致され滋賀県の権田組長の屋敷へ。カプセルの行方を追及されます。
 そこへ、山梨からいやらしい目つきの謎の男が乱入してきます。
 
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by tencho77 | 2009-05-26 23:59 | 【君が想うよりオオカミ】