【君が想うよりオオカミ】    男女の間に友情という観念は成立するのかを描く小説       【TVブロ酢】           辛口、甘口でないスッぱい批評        【となりのレトロ】


by tencho77

君が想うよりオオカミ ♯16

「そろそろ通報を受けた所轄が来るぞ。無駄な抵抗は・・・。」

「うるせー!どうせ俺も用が済んだら消されるんだ・・・。」

こうちゃく状態とはこのことだ。
コンビニのレジだが、店員は片手に爆弾のスイッチらしきもの、片手に拳銃を所持している。
同時にダイナマイトに付いた数字も、残り少ない時を刻んでいる。

池袋の視線はテロリストと化した店員と睨みあっていた。
比企は足を負傷した名前のない男性を励ましている。

「消される?誰に?」

池袋がそうきり出した時に、定時集荷の宅配便車輌が店舗前に停まった。

「その男をこっちへよこせ・・・。」

店員は比企に向かって要求した。

「か、代わりに俺が人質になる!」

「だめだ!どうせ変な小細工を考えてんだろ、おめぇらは。」

早くしろと言わんばかりに店員は、レジ前のガム棚に向かって数発発砲した。
宅配便の運転手は身の危険を感じ、その場から少し離れた所へ走り去った。
震える携帯で必死に警察へ通報しているようだ。

「早くしろ!」

今にも親指でスイッチを押しそうだ。
これ以上店員を刺激すると、店ごと四人は吹き飛んでしまう。
仕方なくあだ名で呼ばれている男性を店員に引き渡した。

「これは置いてってやるよ。」
爆弾のスイッチを挑発的にレジ上に置いた。
しかし、二人の刑事は人質を考慮し下手に動けない。

あだ名で呼ばれている男性に銃を突きつけ、ゴルフバックをかつがせる。

なにもできない悔しさを噛み締めている二人の刑事を横目に、不適な笑みを浮かべた店員は
宅配便車輌に乗り込んだ。
あだ名で呼ばれている男性に、足を負傷しているにもかかわらず運転させ発進した。

逃走車輌を見送る、長く感じる一瞬が過ぎた。

「比企さんは奴を追ってくれ!こっちは俺が・・・。」

比企はうなずきながら飛び出し、改造ボルボに乗り込み発進した。

遠くには警察車輌のサイレンが聞こえはじめている。
自然と顔をつたう嫌な汗。
手でぬぐいながらレジ下を覗き込む。

( 爆処理を呼んでいる時間は無いか・・・。)

残り時間10分を切ったデジタル表示を見ながら携帯をかけた。

「本店、公安の池袋です。緊急コード6です。磯辺警部を。」

すぐに呼び出した相手にかわった。

「池袋刑事。久しぶりだな、ちょうど連絡しようとしてたところだ。」

「え?」

「まあそれはあとだ。緊急コード6とのことでどうした。」

「はい。ダイナマイト式時限爆弾と今、格闘してます。爆処理は間に合わないのです。」

「配線はどうなっている?」

「オレンジ、赤、ピンク、青の順で各1本、あいだに白2本です。」

「白2本を切って並列にしてみてくれ。」

売り物のカッターの封を明け、慎重に白い線を切り、指示通りにつなげた。

静かな時が一瞬流れる。
特に何も変化は起きない。
ダイナマイトに付いた数字は残り少ない時を刻み続けている・・・。

「何も起きません。」

「だとするとそれを止める手段は無い・・・。」

店舗の前にはパトカーが数台到着した。

「付近を非難させろ!」

外に飛び出した瞬間、店舗は轟音を立て吹き飛んだ。
あたり一面隣接する建物のガラス片で埋め尽くされた。

「おい!大丈夫か!」

道に転がった携帯の向こうで聞こえる、怒鳴っている警部の声。

「大丈夫です。巻き添えの一般市民もいないようです。」

( 畜生!ここは平和な日本だ・・・。 )

ガラス片で多少切り傷を負った手で携帯を拾い、悔しさと湧き出る怒りをこらえながら応えた。

「マル対は所轄の比企刑事が追ってます。で、警部からのお話しとは?」

「以前から君が内定捜査中の道プロの件だ。」

「ちょうど先ほど、部下の赤池を手がかりが掴めそうな東北へ出張に行かせたとこです。」

「その赤池が捜査している道プロのタレント、御諸木諸子の自宅アパートから変死体が
発見された。」

「は?赤池からそんな報告は受けてないです。変死体というのは?」

「害者は管理人の田戸という男性。深夜の騒音の苦情を言いに訪ねた坂石という、
同じアパートの住人から通報が府警にあったのだ。」

「どういうことですか?」

「坂石からも事情聴取をしているが、昨夜マネージャーの男が訪れた際に何かあったらしい。」

なぜだ。
赤池は気づかなかったのか・・・。

「しかも・・・。」

磯辺警部を言葉を詰まらせた。

「しかも・・・なんですか。」

「しかも、害者は銃殺されている。赤池刑事の弾痕データと照合が一致した。」

池袋は野球のノックを一気に100本受けるほどの衝撃を受けた。

嫌な予感がし瞬時に想った。

( 部寺 穂香が危ない・・・。)





to be next ♯17
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by tencho77 | 2009-07-24 20:31 | 【君が想うよりオオカミ】